高額医薬品のキムリアの値段が、3350万円(正確には3349万3407円)に5月15日の中央社会保険医療協議会で決まった。同薬は、テーラーメードの製品で個々の患者さんの免疫細胞にがん細胞を攻撃する遺伝子を組み込むもので、白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんに奏功する可能性がある。オプジーボ以来、こうした免疫系に直接作用する薬剤が上市してきた。
そうなると心配なのは、皆保険制度の存続である。世界に類を見ないわが国の優れた皆保険制度は、医学の進歩と相まって、国民の健康に大きく貢献し、平均寿命、引いては健康寿命の延伸に寄与した。保険制度の適用範囲などに関して、多くの議論があるが、まずは慎重に見守りたいと思う。